月別 アーカイブ

HOME > ブログ > 「わんこ元気のスープ」ボーンブロスの作り方

ブログ

< ハイシニア⑨  |  一覧へ戻る  |  秋も油断できない!寄生虫予防! >

「わんこ元気のスープ」ボーンブロスの作り方

こんにちは。八潮市・草加市の動物病院ペットクリニッククローバーの、院長藤井和恵ですclover

食欲が落ちた日、季節の変わり目、年齢を重ねてきた頃…。
一杯のあたたかいスープが、からだも心もほぐしてくれることがあります。
今日は、犬のためのボーンブロス(骨のスープ)を、西洋医学的な栄養視点腸活、そして中医学の“温めて巡らす”視点でわかりやすくご紹介します。


愛犬の元気のカギは、“目に見えないコラーゲン不足”?

からだは毎日「コラーゲン(たんぱく質の一種)」を作り替えていますが、材料(アミノ酸)が足りなかったり、
合成力が落ちると「なんとなくの不調」が積み重なります。
”ボーンブロス”は
ゼラチン(コラーゲン由来)グリシン/プロリン
などのアミノ酸をやさしく補い、
食べやすい水分としても役立つのが魅力。

※コラーゲンは“塗る”より食べて材料に。ただし万能薬ではありません。主食の栄養バランスが土台です。


犬にやさしい“骨のスープ”|ボーンブロスって何?

骨・関節・皮・軟骨などを長時間じっくり煮出したスープ

  • 西洋栄養学:ゼラチン、微量のグルコサミン/コンドロイチン※、ミネラル(水に溶ける範囲)を手軽に摂取

  • 腸活水分+アミノ酸で胃腸の“休息”を助け、食べやすさを底上げ

  • 中医学:*温中(お腹を温め)・補気血(気血を養う)*の発想で、冷えや食欲の落ちにやさしい
    ※含有量は材料・作り方で大きく変わります。サプリの代替にはなりません。


なぜ効くの?ボーンブロスの特徴

  • アミノ酸:グリシンは胃腸の粘膜と睡眠の質に関与、プロリンは結合組織の材料

  • ゼラチン水分保持と食感UP → 食欲の立ち上がりを助ける

  • 低脂肪にもできる上澄みの脂を外すことで、膵炎など脂制限が必要な子にも配慮可能(要主治医判断)


どんな症状にいいの?“コラーゲン足りないサイン”と相性の良さ

  • 食欲のムラ・水分不足気味のとき

  • 被毛のパサつき/皮膚の乾きが気になるとき(※スキンケアと併走)

  • シニア期の“体力の底上げ”をしたいとき

  • 回復期のつなぎ食として

腎臓病・心疾患・尿路結石・食物アレルギー・膵炎がある子は、必ず事前に獣医に相談
塩・玉ねぎ・にんにく絶対NG骨そのものは与えない(誤嚥・消化管損傷の危険)。


簡単で続けやすい|わんこボーンブロスの作り方

材料(基本)

  • 手羽先(いち押し) 500g
    ※ゼラチンが出やすく、仕上がりがぷるんと固まりやすいです。
    代替:手羽元・鶏ガラ・鶏ネック・(経験があれば)牛すね関節・豚足 など

  • 2.0Lくらい(骨がしっかりかぶる量)

  • 酢(任意) 小さじ1〜2
    ※ミネラル抽出を助けますが、入れなくてもOK。敏感な子はなしで。

  • 入れない:塩/玉ねぎ・にんにく・長ねぎ/唐辛子・こしょう等の香辛料/ハーブ強めの香味野菜)

下ごしらえ(におい・濁りを減らして飲みやすく)

  1. 湯通し:骨をサッと湯にくぐらせ、血抜き。

  2. 流水で洗う:表面のアクを落とす。

  3. 鍋に新しい水をはり、骨を入れる。

作り方(3パターン)

A. 鍋コトコト派(味がやさしい)

  1. 強火で沸かし、すぐ弱火へ。ふつふつが立つ程度をキープ。

  2. アクを丁寧に除く

  3. 弱火で4〜8時間じっくり。水面が減りすぎたら差し水。

  4. ザル→細かい茶こしで二重濾し

B. 圧力鍋(時短・ヒスタミン配慮)

  1. 高圧で40〜60分 → 自然放置せず急冷

  2. 濾してすぐ急速に冷やす(ヒスタミン対策)。

C. スロークッカー(放っておける)※院長一押し!

  1. LOWで8〜12時間

  2. 濾して速やかに冷やす

仕上げ

  1. 粗熱が取れたら冷蔵で一晩

  2. 表面に固まった脂の層をすべて外す(低脂肪化)。

  3. ゼリー状になっていれば成功。ならなければ手羽先を追加して再加熱

  4. 製氷皿で小分け冷凍(1キューブ=約10〜15mLが便利)。

保存目安

  • 冷蔵:2〜3日

  • 冷凍:2〜3週間(風味重視なら2週間以内)

透明&おいしいコツ

  • 弱火で“沸騰させない”:にごり・えぐみを抑えます。

  • アク取りは序盤集中

  • 水は足してOK(濃度は後で調整)。


与え方と目安量(まずは“少なめ”から)

体調・持病・その日のごはんにより適量は変わります。最初は少量でスタートし、便と皮膚の状態を見ながら。

  • 超小型(〜5kg):10〜20mL/回

  • 小型(5〜10kg):20〜40mL/回

  • 中型(10〜20kg):30〜60mL/回

  • 大型(20kg〜):60〜120mL/回
    頻度:1〜2回/日(トッピングや水分アップとして)
    位置づけ:主食の10%以内を目安に(総合栄養食は継続)

使い方いろいろ

  • ドライフードに絡める(ふやかして消化サポート)

  • ウェットにひとさじ足す(嗜好性UP)

  • 夏はジュレ/冬はぬるめで“温中”ケア

  • 回復期は少量頻回で


“魔法のスープ”アレンジ(安全第一の範囲で)

  • シンプル鶏ささみ足し:ほぐしささみを少量。たんぱく質をやさしく追加。

  • かぼちゃピュレ:小さじ1〜2混ぜて水溶性食物繊維をプラス(与えすぎ注意)。

  • 腸活トッピングプロ/プレバイオティクス人肌まで冷ましてから混ぜる(熱で失活防止)。

入れない:塩、玉ねぎ・にんにく・長ねぎ、胡椒、ローリエなど香りの強い葉、ぶどう・レーズン、キシリトール。


注意したい子(必ずご相談を)

  • 膵炎の既往/脂質制限しっかり脱脂し、少量から。

  • 腎・心疾患、尿石症、食物アレルギー材料・量の設計が必要。主治医と相談。

  • ヒスタミン感受性圧力鍋+急冷、長時間放置を避ける。

  • 嘔吐・下痢・掻痒が出たら中止し評価。


まとめ|まずは“手羽先×小分け冷凍”から

難しく考えず、手羽先+水だけでOK。
小さじ1からはじめて、*うちの子の“ちょうど良い”*を探していきましょう。
わからない点や体質に合わせた設計は、一緒に設計していきます!

 


< ハイシニア⑨  |  一覧へ戻る  |  秋も油断できない!寄生虫予防! >

このページのトップへ