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犬・猫が吐いたらどうする?--原因と受診のタイミングを「3つのレンズ」で見る|八潮市のペットクリニッククローバー

こんにちは。八潮市のペットクリニッククローバー、院長の藤井和恵です。

「吐いたけど元気そう」—様子を見てもいいかな?実はここに落とし穴があることも。。。

吐いた直後にケロッとして見えても、体の中では脱水や電解質のズレが進むこともあります。
今日は、西洋医学/中医学/腸活の3つのレンズで、犬猫の嘔吐を分かりやすく解説してみます。


1⃣ 原因を立体視する:3つのレンズ

 西洋医学のレンズ(臓器と病名で考える)

  • 胃腸由来:急なフード変更、食物アレルギー、食べすぎ・早食い、膵炎、胃腸炎、毛球(猫)

  • 全身病:腎不全・尿路閉塞(特に猫)、糖尿病、甲状腺・副腎のトラブル、心筋症、腫瘍

  • 感染・寄生虫:細菌性胃腸炎、ウイルス性胃腸炎、回虫・ジアルジア・コクシジウム

  • 中毒・誤食:チョコ、タマネギ、ユリ(猫は厳禁)、ヒモ/おもちゃなど異物

  • 要注意サイン

    • 朝だけ黄色い液を吐く→空腹時胆汁嘔吐症候群の可能性(就寝前の少量給餌で改善することも)

    • 吐けないのにえずく・よだれ・落ち着かない(犬)胃拡張捻転症候群の緊急疑い

    • 猫が24時間以上食べない肝リピドーシスのリスク(早期受診)

中医学のレンズ(流れとバランスで考える)

  • 胃気不降(いきふこう):胃の気が下に降りず、上へ逆流=嘔吐。

    • 引き金:冷え・油っぽい食事・ストレス・食べすぎ。

  • 肝気犯胃(かんきはんい):イライラ・緊張で肝の気が胃を乱す=食後すぐ吐く、げっぷ。

  • 痰湿・食滞:ベタつく嘔吐、食欲不振、舌苔が厚い。

  • 寒熱の見極め:冷えると悪化(寒)、熱感・口渇・赤い舌(熱)。

  • ケアの方向性(例)

    • 温中和胃(冷えタイプ):チキンスープ風のぬるめスープを少量頻回で。

    • 理気和胃(ストレスタイプ):香りの穏やかな食材(陳皮相当の柑橘皮エキス等)を獣医指導の範囲で。
      ※漢方・生薬は動物用として獣医の管理下で行いましょう。

 腸活のレンズ(粘膜と微生物で考える)

  • 腸は“免疫の司令室”:嘔吐は腸内細菌バランス乱れの警告でもあります。

  • まず守るべき3R

    1. Rest(休める):消化にやさしい少量頻回の食事へ切替(猫は断食NG)。

    2. Rehydrate(潤す):こまめな給水/経口補水(指示範囲で)。

    3. Restore(整える):適切な「プロバイオティクス+プレバイオティクス(例:ケストース)」で菌の土台づくり。

  • 粘膜サポート:L-グルタミン、可溶性食物繊維(過量注意)—個体差に合わせて設計

はっとするポイント
「吐いた=胃だけの問題」ではありません。腎・内分泌・ストレスまで一本の糸でつながっています。
だからこそ、“薬だけ”でも“サプリだけ”でも足りない。3つのレンズの重なりで原因に届きます。


2⃣ 受診のタイミング:迷ったらこのチェック

  • 1日に2回以上の嘔吐が2.3日以上続く/水を飲んでもすぐ吐く

  • 血が混じる・コーヒー残渣様/黒いタール便

  • ぐったり・発熱・震え・強い腹痛

  • 異物誤食の可能性/ユリ・薬・農薬など中毒疑い

  • 子犬・子猫/高齢/持病あり

  • 猫が24時間以上食べない(緊急相談を)


3⃣ おうちでまずできること(※軽度で元気がある場合)

  • 食事:犬は“消化しやすい低脂肪”を少量頻回、猫は高たんぱくを切らさない(絶食しない)

  • 水分:常温の水を少しずつ(一気飲みはNG)

  • やめておくこと:自己判断の整腸剤・鎮痛薬、人用吐き気止め、長時間の絶食(特に猫)

  • 記録:吐いた回数・タイミング、食べたもの、嘔吐物の写真を保存(診断に有用)

はっとするポイント
「吐いたから今日は断食」—猫には禁物。 それ、肝リピドーシスの引き金になることがあります。


4⃣ クローバーの診察フロー(安心と納得のために)

  1. 丁寧な問診:食事・環境・ストレス・体質(中医学的視点も)

  2. 検査:血液/便/画像(X線・エコー)で危険サインを先に除外

  3. 治療

    • 西洋医学:制吐・胃粘膜保護・点滴・原因治療

    • 中医学:体質に合わせた“気と胃腸”の調整

    • 腸活:プロ/プレバイオティクス設計、粘膜サポート、食事プラン

  4. 再発予防プラン:朝の胆汁嘔吐への就寝前スナック、ストレスケア、個別の腸活ルーティンまで。


5⃣ まとめ:嘔吐のゴールは「吐かなくなること」じゃない

症状が止まることは通過点です。
“なぜ吐いたか”を特定し、もう一度起こさない体に戻すのがゴールです。
クローバーは、西洋医学の確かさ中医学のやさしさ腸活の再発予防を重ね、あなたの子の“ちょうど良い”治療を一緒につくります。

迷ったら、写真とメモを持ってご相談ください。
はっと気づける診察で、今日の不安をほどいていきましょう!!



当院は予約制になっております。
気になることがありましたら、お早めにご相談ください♪

TEL 048-998-5656 



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