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「わんこ元気のスープ」ボーンブロスの作り方
こんにちは。八潮市・草加市の動物病院ペットクリニッククローバーの、院長藤井和恵です
食欲が落ちた日、季節の変わり目、年齢を重ねてきた頃…。
一杯のあたたかいスープが、からだも心もほぐしてくれることがあります。
今日は、犬のためのボーンブロス(骨のスープ)を、西洋医学的な栄養視点、腸活、そして中医学の“温めて巡らす”視点でわかりやすくご紹介します。
愛犬の元気のカギは、“目に見えないコラーゲン不足”?
からだは毎日「コラーゲン(たんぱく質の一種)」を作り替えていますが、材料(アミノ酸)が足りなかったり、
合成力が落ちると「なんとなくの不調」が積み重なります。
”ボーンブロス”はゼラチン(コラーゲン由来)やグリシン/プロリンなどのアミノ酸をやさしく補い、
食べやすい水分としても役立つのが魅力。
※コラーゲンは“塗る”より食べて材料に。ただし万能薬ではありません。主食の栄養バランスが土台です。
犬にやさしい“骨のスープ”|ボーンブロスって何?
骨・関節・皮・軟骨などを長時間じっくり煮出したスープ。
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西洋栄養学:ゼラチン、微量のグルコサミン/コンドロイチン※、ミネラル(水に溶ける範囲)を手軽に摂取
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腸活:水分+アミノ酸で胃腸の“休息”を助け、食べやすさを底上げ
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中医学:*温中(お腹を温め)・補気血(気血を養う)*の発想で、冷えや食欲の落ちにやさしい
※含有量は材料・作り方で大きく変わります。サプリの代替にはなりません。
なぜ効くの?ボーンブロスの特徴
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アミノ酸:グリシンは胃腸の粘膜と睡眠の質に関与、プロリンは結合組織の材料
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ゼラチン:水分保持と食感UP → 食欲の立ち上がりを助ける
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低脂肪にもできる:上澄みの脂を外すことで、膵炎など脂制限が必要な子にも配慮可能(要主治医判断)
どんな症状にいいの?“コラーゲン足りないサイン”と相性の良さ
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食欲のムラ・水分不足気味のとき
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被毛のパサつき/皮膚の乾きが気になるとき(※スキンケアと併走)
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シニア期の“体力の底上げ”をしたいとき
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回復期のつなぎ食として
※腎臓病・心疾患・尿路結石・食物アレルギー・膵炎がある子は、必ず事前に獣医に相談。
※塩・玉ねぎ・にんにくは絶対NG。骨そのものは与えない(誤嚥・消化管損傷の危険)。
簡単で続けやすい|わんこボーンブロスの作り方
材料(基本)
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手羽先(いち押し) 500g
※ゼラチンが出やすく、仕上がりがぷるんと固まりやすいです。
代替:手羽元・鶏ガラ・鶏ネック・(経験があれば)牛すね関節・豚足 など -
水 2.0Lくらい(骨がしっかりかぶる量)
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酢(任意) 小さじ1〜2
※ミネラル抽出を助けますが、入れなくてもOK。敏感な子はなしで。 -
(入れない:塩/玉ねぎ・にんにく・長ねぎ/唐辛子・こしょう等の香辛料/ハーブ強めの香味野菜)
下ごしらえ(におい・濁りを減らして飲みやすく)
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湯通し:骨をサッと湯にくぐらせ、血抜き。
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流水で洗う:表面のアクを落とす。
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鍋に新しい水をはり、骨を入れる。
作り方(3パターン)
A. 鍋コトコト派(味がやさしい)
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強火で沸かし、すぐ弱火へ。ふつふつが立つ程度をキープ。
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アクを丁寧に除く。
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弱火で4〜8時間じっくり。水面が減りすぎたら差し水。
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ザル→細かい茶こしで二重濾し。
B. 圧力鍋(時短・ヒスタミン配慮)
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高圧で40〜60分 → 自然放置せず急冷。
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濾してすぐ急速に冷やす(ヒスタミン対策)。
C. スロークッカー(放っておける)※院長一押し!
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LOWで8〜12時間。
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濾して速やかに冷やす。
仕上げ
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粗熱が取れたら冷蔵で一晩。
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表面に固まった脂の層をすべて外す(低脂肪化)。
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ゼリー状になっていれば成功。ならなければ手羽先を追加して再加熱。
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製氷皿で小分け冷凍(1キューブ=約10〜15mLが便利)。
保存目安
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冷蔵:2〜3日
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冷凍:2〜3週間(風味重視なら2週間以内)
透明&おいしいコツ
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弱火で“沸騰させない”:にごり・えぐみを抑えます。
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アク取りは序盤集中。
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水は足してOK(濃度は後で調整)。
与え方と目安量(まずは“少なめ”から)
体調・持病・その日のごはんにより適量は変わります。最初は少量でスタートし、便と皮膚の状態を見ながら。
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超小型(〜5kg):10〜20mL/回
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小型(5〜10kg):20〜40mL/回
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中型(10〜20kg):30〜60mL/回
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大型(20kg〜):60〜120mL/回
頻度:1〜2回/日(トッピングや水分アップとして)
位置づけ:主食の10%以内を目安に(総合栄養食は継続)
使い方いろいろ
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ドライフードに絡める(ふやかして消化サポート)
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ウェットにひとさじ足す(嗜好性UP)
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夏はジュレ/冬はぬるめで“温中”ケア
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回復期は少量頻回で
“魔法のスープ”アレンジ(安全第一の範囲で)
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シンプル鶏ささみ足し:ほぐしささみを少量。たんぱく質をやさしく追加。
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かぼちゃピュレ:小さじ1〜2混ぜて水溶性食物繊維をプラス(与えすぎ注意)。
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腸活トッピング:プロ/プレバイオティクスは人肌まで冷ましてから混ぜる(熱で失活防止)。
入れない:塩、玉ねぎ・にんにく・長ねぎ、胡椒、ローリエなど香りの強い葉、ぶどう・レーズン、キシリトール。
注意したい子(必ずご相談を)
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膵炎の既往/脂質制限:しっかり脱脂し、少量から。
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腎・心疾患、尿石症、食物アレルギー:材料・量の設計が必要。主治医と相談。
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ヒスタミン感受性:圧力鍋+急冷、長時間放置を避ける。
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嘔吐・下痢・掻痒が出たら中止し評価。
まとめ|まずは“手羽先×小分け冷凍”から
難しく考えず、手羽先+水だけでOK。
小さじ1からはじめて、*うちの子の“ちょうど良い”*を探していきましょう。
わからない点や体質に合わせた設計は、一緒に設計していきます!