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漢方は即効性はない?副作用はない?の疑問

ペットクリニッククローバー 院長より

 

「漢方薬は効果が緩やかで副作用が少ない。西洋薬は即効性があるが副作用が出やすい。」
このように考えている方も多いかもしれません。

しかし、これは一面では正しく、一面では誤解でもあります。

漢方薬の即効性

 

実際には、漢方薬の中にも即効性に優れる処方があります。
近年、人の医療現場でも漢方薬の処方が増えており、更年期症状や精神的な不調などに広く用いられています。

たとえば、

  • 咳喘息で麦門冬湯を使用しても改善が乏しかった症例で、麻黄附子細辛湯に変更したところ速やかに咳が止まることがあります。

  • 五苓散はめまいの改善に有効で、西洋医学的治療で効果が得られない場合に劇的に奏効することがあります。

このように、体質や「証」に合致した場合、漢方薬は西洋薬以上の効果を示すことがあります。


西洋医学と中医学の根本的な違い

 

  • 西洋医学
    検査結果(血液検査、画像検査など)に基づき、病名や原因を特定して治療を行います。
    薬は単一の有効成分で構成されており、特定の症状や病態に対して強力に作用します。
    → 原因が明確な疾患においては非常に高い治療効果を発揮します。

  • 中医学(東洋医学)
    病名が定まらなくても、全身の状態や体質を重視し、総合的に診断・治療を行います。
    薬は複数の生薬(植物・動物・鉱物由来)を組み合わせて構成され、相互に補完し合いながら作用します。

例:葛根湯
桂枝・芍薬・大棗・生姜・甘草・葛根・麻黄の7種の生薬が配合され、それぞれに異なる役割を担っています。
同じ「風邪薬」でも処方内容が異なれば、効果や適応も変わります。
 


漢方薬の強み

 

  • 即効性:証に合致すれば短時間で症状改善が得られる。

  • 体質改善:慢性的な不調や不定愁訴に対して効果を発揮しやすい。

  • 包括的アプローチ:症状だけでなく、その個体の体質や背景に働きかける。


当院におけるペット漢方

 

クローバーでは特に「体質改善」と「基盤づくり」を目的として漢方を導入しています。

漢方薬は「証(しょう)」に基づいて処方されます。
証とは、生まれ持った体質(親から受け継いだもの)、現在の症状、気・血・水のバランスを総合的に評価した結果です。

この評価は 四診(望診・聞診・問診・切診) を組み合わせて行います。
動物は自分の症状を言葉で伝えることができないため、飼い主様からの情報が診断の大きな手がかりとなります。

当然、証を間違っていれば漢方薬の効果は出ません。症状に即効性があるモノもあればじっくり体質改善、悪くなる前の養生となればすぐに効果は見られない場合もあります。

下痢や嘔吐など一時的な反応が出る場合もあります。


まとめ

 

治療を続けているのに症状が改善しない場合、漢方的な視点が突破口になることがあります。
私たちは、西洋医学と東洋医学の両方を取り入れ、より幅広い治療の選択肢を提供することで、動物たちの健康と生活の質を高めることを目指しています。

お気づきの点やご相談があれば、どうぞご遠慮なくお声がけください。



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